ネットワークコンピューティング

1. URL
2. 担当教員
3. ネットワークに関する疑問
4. 講義目的
5. 到達目標
6. 授業方法
7. 成績評価
8. スケジュール
9. 大崎が担当する科目に共通の連絡事項・アドバイス
10. LAN の構成要素・通信プロトコル
11. 無線 LAN、VLAN (仮想 LAN)
12. インターネットの概要、TCP/IP
13. IP プロトコル (1)
14. IP プロトコル (2)
15. 前半の総復習
16. 授業中試験について
17. TCP プロトコル (1)
18. TCP プロトコル (2)

LAN の構成要素・通信プロトコル

授業の流れ

1. 解説 (30 分)
2. グループワーク (55 分)
3. 確認テスト (10 分)
4. 採点・リフレクションシート記入 (5 分)

チーム分けの方針

- いろいろな人とチームになる
- チームの人数は自由に決めてよい

態度目標

- しゃべる
- 質問する
- 説明する
- 動く (立ち歩く)
- チームで協力する
- チームに貢献する

内容目標

- LAN (ローカルエリアネットワーク) とは何かを他人に説明できるようになる。

- MAC アドレスとは何かを他人に説明できるようになる。

- イーサネットの原理・特徴を他人に説明できるようになる。

- イーサネットの基本的な特性を簡単なモデルを用いて数理的に分析できるようになる。

注意事項

Wikipedia 日本語版およびブログ等を情報源として用いてはならない。

英語のトレーニングも兼ねて、 日頃から英語の文献を読むとよい。 英語を読み続けるのがつらい場合は、 日本語の文献を探すのではなく、 機械翻訳 (ChatGPT がおすすめ) を使って読むという方法もある。

テキスト

https://lsnl.jp/~ohsaki/lecture/netcomp/2025/priv/01.pdf

情報源

- 書籍

W. リチャード・スティーヴンス, ``詳解TCP/IP〈Vol.1〉プロトコル,'' ピ
アソンエデュケーション, 2000.

宮原 秀夫, 尾家 祐二, ``コンピュータネットワーク,'' 共立出版, 1999.

竹下 隆史, 村山 公保, 荒井 透, 苅田 幸雄, ``マスタリングTCP/IP 入門編
第5版,'' オーム社, 2012.

電子情報通信学会, ``電子情報通信ハンドブック,'' オーム社, 1988.

- オンラインドキュメント

Computer network
http://en.wikipedia.org/wiki/Computer_network

Local area network
http://en.wikipedia.org/wiki/Local_area_network

電子情報通信学会 知識ベース
http://www.ieice-hbkb.org/portal/

課題

課題 1

IV 号館 4F のグララボで PC を使用している時、 LAN、 ホスト、 スイッチ、 リンクはそれぞれ何に対応するか。 また、 それらはそれぞれどこにあるか。

課題 2

自身が使用している端末 (ノート PC もしくはスマートフォン) の MAC アドレスを答えよ。 また、 その MAC アドレスを割り当てた組織名を答えよ。

課題 3

イーサネットフレームに n (46 <= n <= 1500) オクテットのペイロードを格納する時の伝送効率 (リンクの通信容量のうちデータ転送に利用できる割合) を求めよ。 また、 伝送効率の最小値および最大値を求めよ。

課題 4

CSMA/CD の特性を近似的に解析したい。 (1) Q 台のホストが転送すべきデータを持っている、 (2) Q 台のホストはスロット単位で同期して動作する、 (3) 各ホストは各スロットにおいて確率 1/Q でフレーム伝送を試みる、 という単純化したモデルを考える。 このモデルでは、 Q 台のホストのうち 1 台のホストのみがフレーム伝送を試みた場合に限りフレーム伝送が行われる (0 台であれば未使用、 2 台以上であれば競合のため伝送に失敗する)。

あるスロットにおいて 1 台のホストのみがフレーム伝送を試みる確率 A を求めよ。 また、 いずれかのホストがフレーム伝送に成功するまでのスロット数の期待値 W を求めよ。

略解

課題 1

LAN →イーサネット LAN (グララボ、マルラボ、準備室)
ホスト→ Windows PC (グララボ)
スイッチ→イーサネットスイッチ (グララボ教卓横のラック内)
リンク→イーサネットケーブル (PC 背面から床下を通ってグララボ教卓横のラックまで)

課題 2

Windows であればコマンドプロンプトから ipconfig /all で確認できる。 iOS であれば、 設定→一般→情報の「Wi-Fi アドレス」で確認できる。

ipconfig
https://learn.microsoft.com/en-us/windows-server/administration/windows-commands/ipconfig

なお、 iOS 14 以降は MAC アドレスのランダム化を行っていることに注意。

Wi-Fi privacy
https://support.apple.com/guide/security/wi-fi-privacy-secb9cb3140c/web

MAC アドレスのブロックは IEEE が発行・管理しており、 MAC アドレスブロックのデータベースが公開されている。

IEEE Registration Authority
https://regauth.standards.ieee.org/standards-ra-web/pub/view.html#registries

例えば、 MAC アドレスが 94:EA:32:**:**:** であれば、 MAC Address Block Large (MA-L) (oui.txt) から Apple が割り当てたものであることがわかる。

94-EA-32   (hex)              Apple, Inc.
94EA32     (base 16)          Apple, Inc.
                              1 Infinite Loop
                              Cupertino  CA  95014
                              US

94:EA:32 のブロックは IEEE が割り当て、 そのブロック中の MAC アドレスは Apple が割り当てている。

課題 3

ヘッダが 7 + 1 + 6 + 6 + 2 で計 22 オクテット、 トレイラが 4 オクテットであるから、 イーサネットフレーム長は 22 + n + 4 = 26 + n オクテット。 26 + n オクテットのうち、 n オクテットだけがデータ伝送に利用されるから、 利用効率は

  n
------
26 + n

である。 n = 46 の時、 伝送効率は最小 (約 64 %) となり、 n = 1500 の時、 伝送効率は最大 (約 98%) となる。

課題 4

資料
Ethernet: Distributed Packet Switching for Local Computer Networks
http://magrawal.myweb.usf.edu/dcom/Ch3_MetcalfeBoggsCACM1976.pdf

ある 1 台のホストのみフレーム伝送を試みる確率は、 そのホストがフレーム伝送を試み、 他の Q - 1 台がフレーム伝送を試みない確率であるから

1/Q * (1 - 1/Q)^(Q - 1)

である。 あるスロットにおいて 1 台のホストのみがフレーム伝送を試みる確率 A は、 「フレーム伝送に成功する 1 台のホスト」が Q 通りあるから

A = Q * 1/Q * (1 - 1/Q)^(Q - 1) = (1 - 1/Q)^(Q - 1)

である。

待ちが発生しない確率が A、 1 スロットだけ待ちが発生する確率が (1 - A) * A (1 回伝送に失敗し、 2 回目で伝送に成功する確率) である。 同様に、 i スロットだけ待ちが発生する確率が (1 - A)^i * A (i 回伝送に失敗し、 次の i + 1 回目で伝送に成功する確率) である。 したがって、

      ∞
W =   Σ   i * (1 - A)^i * A = (1 - A) / A
    i = 0

である。

(補足)

W - (1 - A) W を考えると、

W - (1 - A) W = (1 - A) A + (1 - A)^2 A + (1 - A)^3 A + …

のように初項 (1 - A) A、 公比 1 - A の無限等比級数の和となっている。 これより、

W = (1 - A) / A

が求まる。

類題

類題 1

なし

類題 2

なし

類題 3

なし

類題 4

じゃんけんの特性を数理的に解析したい。 (1) Q 人でじゃんけんをする、 (2) 各人はグー・チョキー・パーをそれぞれ 1/3 の確率で出す、 というモデルを考える。 このじゃんけんでは、 Q 人のうち 1 人だけが勝ちの場合に限り勝敗が確定する (勝ちが二人以上の場合は相子 (あいこ) とみなす) とする。

1 回のじゃんけんで 1 人だけが勝ちとなる確率 A を求めよ。 また、 くいずれかの人が勝ちになるまでじゃんけんを繰り返す時、 勝者が決まるまでのじゃんけんの回数の期待値 W を求めよ。

レポート課題 2025/09/24

授業終了後に自習を行い、 到達目標まで到達せよ。 疑問に思った点、 わからない点は各自で信頼できる文献を用いて調査せよ。

その後、「今週の作業内容」、 「『内容目標』をどの程度達成できた/できなかったか」、 「質問・要望・コメント」、 「感想」を「ネットワークコンピューティング」レポート送信フォームから送信せよ。

提出方法: 「レポート送信フォーム」から送信せよ。 レポートが正しく提出されると、レポートの控えが自身のメールアドレス宛に送信される。 レポートの控えは成績発表まで保存しておくこと。 レポートが再提出された場合は、 新しいほうを採点対象とする。

提出期限: 次回の授業開始の 48 時間前とする (例えば、 9/24(水) の課題であれば、 10/1(水) 1:30pm の 48 時間前である 9/29(月) 1:30pm)。 期限を過ぎたものは受理しない。

注意事項: 「質問・要望・コメント」は匿名にした上で公開する (講義ページに掲載する)。 公開されて困る内容は「質問・要望・コメント」等に含めないこと。 個人的な質問・相談等は「感想」の覧に記入せよ。

質問

- 確認テスト答案提出フォームというものがありましたが、指示がない限りは提出しなくても大丈夫でしょうか。

はい。

- なぜ英語版の Wikipedia は信憑生が高いと言えるのか編集できるのは同じではないのしょうか。

英語版 Wikipedia のすべてのエントリが信頼できる訳ではありませんが、LAN や イー
サネットのような (そこまでニッチではない) エントリであれば、かなり質の高い情
報になっています。

基本的に、編集に参加しているユーザ数の違いで、以下のような状況だと思います。

日本語版 Wikipedia の「イーサネット」→ イーサネットのことをよく理解している
編集者はほぼゼロで、よくわからないなりにあちこちの情報 (日本語の書籍などの二
次情報) を切り貼りして日本語版のエントリを書いている。

英語版 Wikipedia の「Ethernet」→ イーサネットのことをよく理解している編集者
が少数だがいるので、ある程度わかった人が英語の一次情報をもとに英語版のエント
リを書いている。

編集者の質と人数の問題なので、例えば、日本語版 Wikipedia でも「ポケモン」と
か「鬼滅の刃」などはきわめて信頼性が高い情報源だと思います。

コメント

- スロット数の期待値の計算についてはまだ慣れていないので、演習問題を増やしていただけると理解がさらに深まると思いました。

[<9. 大崎が担当する科目に共通の連絡事項・アドバイス] [>11. 無線 LAN、VLAN (仮想 LAN)]