ネットワークコンピューティング

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11. 無線 LAN、VLAN (仮想 LAN)
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13. IP プロトコル (1)
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15. 前半の総復習
16. TCP プロトコル (1)
17. TCP プロトコル (2)
18. インターネットの要素技術 (経路制御)

インターネットの要素技術 (経路制御)

到達目標

- インターネットにおけるルーティングの仕組を、他人に説明できるようになる。

テキスト

https://lsnl.jp/~ohsaki/lecture/netcomp/2024/priv/05.pdf

課題

課題 1

下図のルーティングテーブルを持つルータに関して、以下の問いに答えよ。

192.168.1.0/24 | 192.168.1.250
192.168.2.0/24 | 192.168.2.188
192.168.3.0/24 | 192.168.3.74
192.168.4.0/24 | 192.168.4.11
デフォルト       | 192.168.1.250

(1) ルータの有効なインターフェース数はいくつか。

(2) 送信元 IP アドレスが 192.168.3.12 で、 宛先 IP アドレスが 192.168.4.82 のパケットが送出されるインターフェースの IP アドレスを答えよ。

(3) 送信元 IP アドレスが 192.168.4.10 で、 宛先 IP アドレスが 192.168.0.11 のパケットが送出されるインターフェースの IP アドレスを答えよ。

課題 2

ルータ a〜h で構成される以下のネットワークにおいて、 ディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルを動作させた。

(1) すべてのルータが、 同時に、 一度だけ各隣接ルータと経路情報を交換した時の、 ルータ d のルーティングテーブル (各宛先ルータに対する次ホップと距離) を示せ。 ただし、 距離の定義はホップ数であるとする。

(2) (1) の直後に、 同時に、 もう一度各隣接ルータと経路情報を交換した時の、 ルータ d のルーティングテーブル (各宛先ルータに対する次ホップと距離) を示せ。

                +---+
           +----+ c +---+
           |    +---+   |
+---+    +-+-+        +-+-+     +---+
| a +----+ b +--------+ d +-----+ e |
+-+-+    +---+        +-+-+     +-+-+
  |                     |         |
  |  +---+              +-------+-+-+
  +--+ f +----------------------+ g |
     +-+-+                      +---+
       |
       |  +---+
       +--+ h |
          +---+

課題 3

課題 2 と同じネットワークにおいて、 リンクステート型のルーティングプロトコルを動作させた。 十分時間が経過した時の、 ルータ d のルーティングテーブル (各宛先ルータに対する次ホップとコスト) を示せ。 ただし、 各リンクのコストをすべて 1 とする。

課題 4

ネットワークのルータ数が N、 各ルータのインターフェース数の平均 (= 各ルータに接続されているリンク数の平均) を k とする。

(1) ネットワーク中の総リンク数 |E| を N および k を用いて表せ。

(2) このネットワークに対して Dijkstra 法を実行した時の最悪時間計算量を N および k を用いて表せ。

参考: Dijkstra's algorithm
https://en.wikipedia.org/wiki/Dijkstra%27s_algorithm

略解

課題 1

(1) 4 (ルーティングテーブルに含まれるインターフェース数が 4 だから)

(2) 192.168.4.11 (宛先 IP アドレス 192.168.4.82 が 192.168.4.0/24 にマッチするから)

(3) 192.168.1.250 (宛先 IP アドレス 192.168.0.11 がルーティングテーブル上のいずれのエントリにマッチしないから)

課題 2

(1) この場合、 隣接ルータのみから経路情報が取得できる。

宛先ルータ | 次ホップ 距離
b         | b       1
c         | c       1
e         | e       1
g         | g       1

(2) この場合、 2 ホップ先のルータまでの経路情報が取得できる。

宛先ルータ | 次ホップ 距離
a         | b       2
b         | b       1
c         | c       1
e         | e       1
g         | g       1
f         | g       2

課題 3

十分時間が経過した後では、 各ルータ間の最短経路に基づくルーティングテーブルが作成される。

宛先ルータ | 次ホップ コスト
a         | b       2
b         | b       1
c         | c       1
e         | e       1
f         | g       2
g         | g       1
h         | g       3

課題 4

(1) 各ルータのインターフェース数の平均が k、 1 本のリンクは 2 つのインターフェースに接続されるから

|E| = N * k / 2

(2) Dijkstra 法の最悪時間計算量が O(|E| + |V| log |V|) であるから

O(|E| + |V| log |V|) = O(N * k / 2 + N log N) = O(N log N)

類題

類題 1

下図の案内がされている面接会場に関して、以下の問いに答えよ。

技術部 | 3F 1号室
人事部 | 4F 大会議室
経理部 | 4F 中会議室
その他 | 3F 2号室

(1) 面接会場の数はいくつか。

(2) 出身が工学部で、 技術部志望の学生の面接会場を答えよ。

(3) 出身が経済学部で、 知財部志望の学生の面接会場を答えよ。

(略解) (1) 4、3F 1 号室、3F 2号室

類題 2

お互いに名前を知らない 10 人の学生 a〜i が左から横一列に並んで座っている。 これらの学生が、 隣に座っている人にメモを渡すことで、 できるだけ多くの学生の名前をお互いに知りたい。

(1) すべての学生が、 同時に、 一度だけ隣に (左右にいれば左右それぞれに) 座っている学生にメモを渡した場合に、 学生 d の知ることができる学生の名前を示せ。

(2) (1) の直後に、 同時に、 もう一度隣に座っている学生にメモを渡した場合に、 学生 d の知ることができる学生の名前を示せ。

(略解) (1) c、e、(2) b、c、e、f

類題 3

類題 2 において、 隣に座っている学生にメモを渡す操作を繰り返し、 十分時間が経過した時を考える。 学生 d は、学生 a がどこに座っていると把握できるか。

(略解) 列の左端 (すべての学生が、学生 a〜i が左から横一列に並んで座っていることを知る (ことができる) から)

類題 4

1 クラスの生徒数が N、 各生徒の仲の良い友人の数の平均を k とする。

(1) このクラスで、仲の良い生徒同士のペアの組み合わせは何通りか。N および k を用いて表せ。

(2) 仲の良い生徒同士のペアで構成したネットワークに対して Dijkstra 法を実行した時の最悪時間計算量を N および k を用いて表せ。

参考: Dijkstra's algorithm
https://en.wikipedia.org/wiki/Dijkstra%27s_algorithm

(略解) 課題 4 の答と同じ

レポート課題・質問・要望・コメント 2024/11/20

「レポート課題 2024/09/25」と同じ。

https://lsnl.jp/~ohsaki/lecture/netcomp/2024/#10-10


Hiroyuki Ohsaki (ohsaki[atmark]lsnl.jp)
[<17. TCP プロトコル (2)]