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大崎 博之 (ohsaki[atmark]lsnl.jp)
Tips for effective English learning
$Id: index.pod,v 1.3 2021/05/19 12:59:39 ohsaki Exp ohsaki $
日本人にとって、 英語を修得することは非常に難しいことです。 これは残念ながら事実だと思います。 そのため、 やみくもに英語を学習しても、 なかなか上達しないのが現実です。 英語を話せるように、 読めるように、 書けるようになりたい……と思う人は多いのですが、 「十分に英語を使えるようになった」というレベルに到達する人はなかなか少ないようです。
そこでこの文書では、 どうやって英語を学習すればいいかを解説します。 英語学習は難しいことですので、 それなりの戦略を持って英語学習に望む必要があります。 皆さんが、 英語がスラスラ読めるように、 ペラペラ話せるように、 このヒントを利用して上達することを望んでいます。
まず、 英語学習の目標を明確にしましょう。 「英語が上達したい」といってもいろいろなレベルや種類があります。 海外旅行で現地の人と普通に会話できればいいのか、 研究や仕事に最低限必要な英語の文書を読めるようになりたいのか、 毎日英字新聞を読みこなせる程度になりたいのか、 日本語の小説を読む感覚で英語の本を読めるようになりたいのか、 英語の映画を字幕なして楽しめるようになりたいのか……。 まず自分の目標をはっきりさせましょう。
これと同様に、 「どのくらいの期間で目標を達成したいのか」を明確にしましょう。 1 年後には修得していたいのか、 就職するまでに修得すればいいのか、 じっくり時間をかけて取り組みたいのか、 目標達成までの期限を決めましょう。
ちなみに、 私が大学院生の頃に立てた目標はこんな感じでした。
大学院卒業までに、国際会議で、自信を持って発表できるようになりたい。
いつの日か、英語の本や雑誌をスラスラ読めるようになりたい。
(↑これ、本当は期限をちゃんと決めるべきでした)
目標が明確になったら、 その目標を手帳かノートに書いて、それをときどき目にしましょう。 自分の目標を紙に書き出すのは、 ちょっと恥ずかしい気がするかもしれませんし、 わざわざ紙に書き出す意味もピント来ないかもしれません。 しかし、 目標を明確にして、 その目標を意識し続けることは非常に重要なのです。 手帳やノートに書くくらいなら数分しかかかりませんから、 まあ、 騙されたと思って実行してみてください。
※ 以下、 XX や? となっている箇所は記憶に頼って書いています。 出典を確認後、 正確な記述に修正します。
次に、 我々日本人にとって、 英語学習はそもそも非常に難しいものである、 ということを理解しましょう。 非常に難しいものなので、 すぐに上達しなくて当然なのです。 英語学習にはある程度時間がかかって当然ですので、 あせらずのんびり取り組むことが重要です。
日本人にとって、 英語学習が難しいのにはいくつか理由があります。
発音の違い
まず、 英語を「聞く」ことに関しては発音の違いが大きな要因です。 日本語の音素数は XX ですが、 英語の音素数は XX もあります。 日本語にはなく、 英語にのみ存在する音素が多数存在するため、 普通に日本語だけを聞いて育った日本人は、 これらの音素を判別することができません。
小学校の音楽の授業で、 先生がピアノで和音を鳴らして、 鳴っている音を答える、 というのがあったかと思います。 絶対音階がある人はどの音が鳴っているか区別できるのですが、 絶対音感がない人にはまったく音を区別できません。 絶対音感が身につくかどうかは、 5〜6 歳くらいまでにトレーニングをしたかどうかで決まります。 このため、 大人になった人が、 絶対音感を身につけるのは非常に困難なのです。
英語の発音もこれと同じす。 5〜6 歳くらいまでの英語学習により、 大人になってから英語の発音が判別できるかどうか決まります。 普通の日本人は、 幼少期は日本語だけを聞いて育つため、 英語の固有の音素を判別できないのです。
文法の違い
「聞く」・「話す」・「読む」に関しては、 文法の違いも英語学習を困難にしている大きな原因の一つです。 文献 [XX] によれば、 世界中で用いられている言語を、 その類似度によって A (類似している)〜C (類似していない) のクラスに分類すると、 日本語と英語は C (類似していない) のクラスに属するそうです。 つまり、 日本人が英語を修得するのは、 他のどの言語を修得するよりも難しい、 ということを意味しています。 これは同様に、 米国人が日本語を修得するのも非常に難しい、 ということを意味しています。 米国の外務省 (?) が想定する、 米国人の外交官が (業務に支障の出ない?) 日本語を修得するのに要する時間は、 およそ 2000 時間 (?) だそうです。 これはつまり、 我々日本人が英語を修得するためには、 2000 時間 (?) くらいかけて学習する必要がある、 ということを意味しています。
日本語と英語の文法の違いの中でも、 日本人にとって英語学習を一番難しくしているのは「語順」でしょう。 日本語の文法では、 主語は必ずしも必要ではありませんが、 英語の主語は通常は省略できません。 日本語の動詞 (述部) は文の最後に来ますが、 英語の動詞は主語の直後 (平叙文の場合) に来ます。
平叙文だとこんな感じです。
日本語: お腹が空きました。
英語: I am hungry.
日本語の場合は、 「空きました」の主体である「私」が省略されています。
疑問文だと、 英語はもっとややこしくなります。 こんな感じです。
日本語: お腹が空きましたか?
英語: Are you hungry?
英語学習を始めたばかりの人が、 日本語で考えたことを英語で話そうとすると、 (1) 頭の中で日本語の単語を対応する英単語に変換し、 (2) 表現したい文型の語順を思い出し、 (3) 日本語の語順を英語の語順に並べ替え、 (4) ようやく英語を話す、 となります。 こんなことが即座にできる訳がないのです (人間の脳は、 こういう機械的な作業を高速にできるようにはできていません)。
日本語と英語を比較した場合、 日本語の文法は自由度が高く、 英語の文法は自由度が低い、 と言えるでしょう。 このため、 日本語→英語の変換 (日英翻訳) はきわめて困難な作業になります。 一方、 英語→日本語の変換 (英日翻訳) も簡単な作業ではありませんが、 日本語→英語の変換よりはまだ簡単です。
ここで一つ注意しておきたいことがあります。 それは、 本当の意味での「日本語の文法」や「英語の文法」というものは存在しない、 ということです。 我々は小学校から中学校で日本語の文法を学び、 中学校〜高校で英語の文法を学びます。 さも、 「日本語の文法とはこういうものだ!」、 「英語の文法とはこういうものだ!」といった風に学びますが、 厳密な意味での文法は 存在しません。
我々が学んだ文法は、 日本語や英語の言語学者が、 「こういうルールがあると仮定すれば、 話言葉や書き言葉が説明できるな……」とか、 「こういうルールだけだと説明できないので、 例外のルールを設けよう……」のような、 先人たちの大変な努力によって人工的に作られたものです。 つまり、 文法というのは、 あくまで後づけのルールなので、 日本語や英語のすべてを説明できませんし、 逆に言えば、 説明できなくて当然なのです。
語彙の不足
3000 語程度は必要
文化の違い
本章では、 私が最も効率がいいと考える、 英語学習法を解説します。 これらの方法は、 あくまで私自信の体験や学習に基いた方法であり、 必ずしもみなさんにとって適切とは限りません。 ですが、 少なくとも私にとっては最も効率の良い方法でした (と思っています)。
一番いいのは、 私が考えるベストの学習法を参考にして、 自分なりにベストの学習法を考えることだと思います。 ですが、 実際に学習を始めてみないと分からないことも多いですし、 自分なりの方法を考えられるようになるまでに大変な紆余曲折がある (その結果、 英語学習を断念してしまう) かもしれません。 そのため、 自分なりの方法を考えるのが難しい人は、 まず私が勧める方法を実践してみてください。
以下では、 英語の、 「聞く」・「話す」・「読む」・「書く」をどのようにトレーニングすればよいかを説明します。
聞く
まず、 もっとも修得が難しい「聞く」ための学習法から説明します。
上で説明したように、 日本語よりも、 英語の音素数のほうが多いため、 日本人が英語を修得するのは本質的に難しいことです。 それを理解した上で、 どのような学習するかを考える必要があります。
英語を「聞く」ためには、 単にルールやパターンを覚えるとか、 リスニングのコツを学ぶ、 という小手先の方法では対応できません。 自分の脳が、 英語の発音を聞き取れるようになるためには、 脳をトレーニングしなければなりません。 脳のトレーニングには、 「質」だけでなく「量」が不可欠です。 残念ですが、 英語を「聞く」ためには「質」だけではどうしても解決できません。
膨大な量の英語を耳にして、 それを脳で処理させる、 というトレーニングを繰り返す必要があります。 それによって、 脳内のニューロンがシナプス結合するまで、 繰り返し、 繰り返し、 繰り返し、 繰り返し、 トレーニングする必要があります。
そこで英語の「聞く」を学習するためには、
できるだけ多くの英語を耳にして、それを理解しようとトレーニングする。
ただし、すぐに聞き取れるようになるとはそもそも期待しない。
という方法がおすすめです。
話す
次に、 おそらくみなさん苦手意識のある、 英語を「話す」ための学習法から説明します。
「聞く」と違って、 「話す」というのは、 練習すれば練習しただけ、 効果が目に見えて上達します。 ですので、 比較的やりがいが生まれやすいですし、 持続して学習することができると思います。
英語を「話す」ためには、 (1) 英語の発音ができるようになること、 (2) 考えていることを英語で表現できるようになること、 の二つのトレーニングが必要です。
まず、 英語の発音ができるようになるための学習法を説明します。
英語を「聞く」のが難しいのと同じ理由で、 英語を発音するのは難しいことです。 そもそも聞きとれない発音の違いを声に出せるようになることが難しいこと、 自分が正しい発音をしているかを確認するのが自分ではできない (他の人に判定してもらう必要がある) ことがその理由です。 英語の発音ができるようになるためには、
できるだけ多くの英語を耳にして、間をおかずに、それをそのまま真似て声
に出す (シャドウイングという方法です)。発音だけでなく、声色・トーン・
アクセント・心情まで、そっくりそのまま真似る (物真似のつもりで)。
という方法がおすすめです。
次に、 自分の考えを英語で表現するための学習法です。
「話す」ための学習で難しいのは、 中学校からずっと受けてきた、 「日本語を英語に翻訳する」という発想から脱却することです。 上でも説明したように、 人間の脳は、 「日本語から英語への変換」といった複雑で機械的な作業を高速にできるようにはできていません。 まず言いたいことを日本語で確定させて、 それを英語に変換していては (普通の人間の脳の処理能力では) 絶対に間に合いません。 「日本語を英語に翻訳する」のではなく、 「自分の考えていることを英語で表現する」というように考え方を切り替えましょう。
さまざまな自分の考えを、 脳で処理することによって英語で表現する、 というトレーニングを繰り返す必要があります。 それによって、 脳内のニューロンがシナプス結合するまで、 繰り返し、 繰り返し、 繰り返し、 繰り返し、 トレーニングする必要があります。
そこで、自分の考えを英語で表現するためには
日頃から、身の回りのこと、思いついたこと、目にしたこと、何でもいいの
でそれを英語で表現する。「考え → 日本語 → 英語」ではなく、「考え
→ 英語」のように意識して頭を切り替える。
という方法がおすすめです。
読む
トピックセンテンス
書く
英語だけ頑張ってもダメ。 英語が得意な人はたくさんいる。 英語では勝負できないことを理解せよ。
発音・文法は多少おかしくても通じる。 アメリカの West Coast の英語だけが英語ではない。 カタカナ英語でも結構通じる。