薦田 憲久, 大川 剛直, "システムのモデリングとシミュレーション, " 計測自動制御学会, 1995/03
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4339083569/
システムのモデル化技術およびシミュレーション技術を幅広く解説している。 さまざまなトピックを扱っているにもかかわらず、本質的な部分はきちんと押 さえてあり、具体例も豊富で理解しやすい。また、取り上げられている具体例 自体が面白いものが多い。読後に気付いたのだが、本学工学部の薦田先生、大 川先生の著であり、工学部における講義メモをもとに作成したとのこと。さす がの一言。モデル化やシミュレーションの和書が少ないこともあり、非常に価 値が高い。すべての研究者・エンジニア向け。おすすめ度★★★★★ (2004/11/26)
J. Best, "統計はこうしてウソをつく—だまされないための統計学入門, " 白揚社, 2002/11
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4826901119/
アメリカで実際に起こった、統計の誤った使用法を例にあげて、このような誤 りが起こった背景や原因を論じている。取り上げられている誤用の例は興味深 い。しかし、非常に初歩的な統計しか扱っておらず、誤用が発生する社会学的 な側面を中心に議論しており、工学系の人には得るものがほとんどない。数学 が苦手な文系の人なら面白いと思うかもしれない。おすすめ度★ (2005/5/31)
佐藤 文広, "数学ビギナーズマニュアル," 日本評論社, 1994/06
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4535782083/
大学で数学を学ぶ人に向けて書かれた入門書。数学特有の表記法や言いまわし、 数学書の記述スタイル、数学の意義などを平易に解説している。本書全体を通 して説明の難易度にバラつきがあり、一部入門者にとって理解できない箇所も あるが、多くの箇所は入門者にとって有用だろう。特に、公理・定義・定理・ 命題・補題・系の意味や用法の違いなどは役立つだろう。150 ページ程度と薄 い本なので、気軽に読める。数学を学ぶすべての大学生向け。おすすめ度★★ ★★ (2006/03/15)
S. Srinivasan, "実用 Perl プログラミング," オライリー・ジャパ ン, 1998/11
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4900900826/
Perl の高度な機能を中心に解説している。リファレンス、モジュール、オブ ジェクト指向プログラミング、Socket モジュール、Perl/Tk、データベースな どのトピックを扱っている。C/C++、Java、Tcl、Python などとの機能比較が 興味深い。翻訳の質も良い。Perl の上級者向け。おすすめ度★★★★ (2004/11/18)
M. Loukides, A. Oram, "GNUソフトウェアプログラミング—オープ ンソース開発の原点," オライリー・ジャパン, 1999/02
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4900900206/
エディタ、コンパイラ、デバッガ、プロファイラなど、UNIX 上でソフトウェ ア開発するためのツールを解説している。FSF が配布している GNU ソフトウェ アのみを取り上げている。クロスコンパイルなど、Cygwin 利用者向けの情報 が記述されているのが特徴。プロファイラ gprof の解説は他であまり見ない ので、この章は有益だろう。ただし、翻訳の質が悪いので、原書を読むほうが 良さそう。UNIX の初心者向け。おすすめ度★★ (2004/11/19)
大西 建児, "ステップアップのためのソフトウエアテスト実践ガイ ド," 日経BP社, 2004/07
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822229688/">
ソフトウェアのテスト現場の実態や体系的なテスト計画/設計/実施/管理の手 法を説明している。ソフトウェアのテスト技法に関するさまざまなトピックを 扱っているため、ソフトウェアのテスト技法に関する知識を広く浅く身につけ ることができる。その反面、抽象的かつ定性的なな議論が多く、物足りなさを 感じる。例えば、「テスト計画はきちんと立てるべき」とか、「テスト項目は 多すぎても少なすぎてもいけない」など、具体的にどうすべきか分からない。 ソフトウェア開発の初心者向け。おすすめ度★★ (2004/11/25)
Randal L. Schwartz, Tom Phoenix, "初めての Perl," オライリー・ ジャパン, 2003/05
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873111269/
Randal L. Schwartz 氏が書いた Perl の入門書。Perl の基本的な利用方法を 丁寧に解説しているだけでなく、Perl の高度な利用方法へのポインタが示さ れている。サンプルプログラムでは実践的な例が取り上げられており、Perl でプログラムを書く上で役立つテクニックが数多く吸収できる。Perl の入門 書の中では文句なくベストだろう。非常に注釈が多いことに驚かされるが、あ ちこちに著者らのユーモアが感じられる。翻訳の質も高い。ある程度プログラ ミングの素養のある人向け。おすすめ度★★★★★ (2004/11/27)
Randal L. Schwartz, Tom Phoenix, "続・初めての Perl - Perl オ ブジェクト、リファレンス、モジュール," オライリー・ジャパン, 2003/12
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873111676/
Randal L. Schwartz 氏が Perl のやや応用的な機能を説明した本。リファレ ンス、オブジェクト、モジュールなど、Perl バージョン 5 以降に追加された 機能を中心に解説している。前半はやや退屈だが、モジュールの作成方法、テ スト手法、CPAN への登録方法などは価値がある。邦題は「続・初めてのPerl」 となっているが、原題は違う。「Learning Perl」の続編と期待するとがっか りするだろう。非常にのっぺりした説明が多く、やや退屈。「実用Perl プロ グラミング」のほうが良い。翻訳の質は普通。Perl の中級者向け。おすすめ 度★★★ (2004/11/29)
Larry Wall, Jon Orwant, Tom Christiansen, "プログラミング Perl (Volume 1)," オライリー・ジャパン, 2002/09
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873110963/
Perl の作者である Larry Wall 氏が Perl を解説した本。今から 10 年ほど 前に「プログラミング Perl」の第 1 版を読んだが、現在は第 3 版となって いるので改めて読んでみた。Volume 1 では、Perl の演算子、式、文、正規表 現、サブルーチンなどを非常に詳しく解説している。単なるリファレンスでは なく、Perl に対する Larry Wall 氏の設計思想や哲学が伺えて、読み物とし ても面白い。Unicode、スレッド、デバッガなどのトピックも興味深い。ただ し、ある程度コンピュータサイエンスの素養のある人でなければ読むのはつら そう。翻訳の質も高い。Perl の中級者〜上級者向け。おすすめ度★★★★★ (2004/12/06)
Larry Wall, Jon Orwant, Tom Christiansen, "プログラミング Perl (Volume 2)," オライリー・ジャパン, 2002/09
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873110971/
Perl の作者である Larry Wall 氏が Perl を解説した本。Volume 2 では、 Perl のセキュリティ、Perl でよくある間違い、POD (Perl のドキュメント形 式)、Perl の関数および特殊変数リファレンス、Perl 標準モジュールの解説 などが含まれている。Perl バージョン 5 以降で登場した機能の説明が中心。 Volume 1 は高度な内容が含まれており、Perl の初心者には難解な部分もあっ たが、Volume 2 は Perl 初心者でも楽しく読めるだろう。特に、後半のリファ レンスは、(英語の苦手な) Perl 初心者には非常に価値が高いだろう。個人的 には、POD と Perl でよくある間違いの章が面白かった (このページも POD で書いている)。翻訳の質も高い。すべての Perl プログラマ向け。おすすめ 度★★★★★ (2004/12/11)
G. J. Myers, "ソフトウェア・テスト技法," 近代科学社, 1980/03
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4764900599/
IBM SRI (System Research Institue) の G. J. Myers 氏が、実践的なソフト ウェアのテスト手法を解説した本。原題は「The Art of Software Testing」 であり、本書を読めばソフトウェアのテストがアートの一種であることが良く 分かる。1980 年代に出版されたものであるため、テスト用ツールの紹介 (8 章) などは一部内容が古くなっているが、それ以外の箇所については非常に価 値が高い。抽象的な議論ではなく、実際のデータをもとに「具体的にどうすれ ばいいか」を解説しており、すべてのプログラマにおすすめする。ソフトウェ アのテストの効率を高めるためには、人間の心理的な影響を考える必要がある こと、また、ソフトウェアのデバッグは推理小説の犯人を探すようなもの、と いう説明には納得させられた。長尾先生の監訳で翻訳の質も良い。すべてのエ ンジニア向け。おすすめ度★★★★★ (2004/12/15)
D. Spinellis, "コード・リーディング --- オープンソースから学ぶプログラミングテクニック," 毎日コミュニケーションズ, 2004/06
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4839912653/
オープンソースのソフトウェアのソースコードを題材として、プログラミング に関するさまざまなトピックを扱った本。実践的な内容で、非常に面白い。実 際のソフトウェアのソースコードを例に挙げた、一般的なプログラミング技術 の解説に始まり、プロジェクト管理手法、テスト手法、コーディング規則、ソ フトウェア・アーキテクチャなど、「使える」技術やノウハウを紹介している。 大規模なソースコードを閲覧する手法や、コンパイラやプロファイラの応用的 な利用方法も紹介されている。11 章では、オープンソースのソフトウェアに、 独自の機能を追加する手順を、その思考錯誤の過程とともに解説しており、読 むだけで楽しい。翻訳の質はそれほど良くない。中級以上のプログラマ向け。 おすすめ度★★★★★ (2005/01/27)
Scott Fullam, "ハードウェアハッキング大作戦," オライリージャパン, 2004/10
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873112117/
身の周りにあるハードウェアを改造する (ハッキングする) 方法を具体的な例 をもとに解説した本。電池を利用してノートパソコン用電源を作る、 Macintosh の筐体を利用して水槽を作る、空き缶を使って無線 LAN のアンテ ナを作る、アーケード用ゲームの筐体を自作する、センサ + Web サーバを搭 載したコーヒーメーカーを作るなど、取り上げているトピックは面白い。半田 ゴテの使い方や、回路図の読み方など、電子工作の基礎も簡単に解説されてい る。ただ、書籍中の写真の解像度が非常に低い (Web ページの画像ファイルを そのまま流用している) など、書籍としての品質に難あり。他人の Web ペー ジの内容をそのまま紹介しているようにも読め、著者のオリジナリティに疑問 が残る。翻訳の質は普通。一般的な理科系の人向け。おすすめ度★★★ (2005/01/31)
Tom DeMarco, "デッドライン --- ソフト開発を成功に導く101の法則," 日経 BP 社, 1999/03
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822280535/
ソフトウェア開発のプロジェクト管理を、架空のプロジェクトマネージャの視 点からストーリー仕立てで語った読み物。失敗するプロジェクトとはどのよう なものか、プロジェクトに問題が発生した時にどう対応すればいいか、上司か らの圧力にどう対応すればいいかなど、ソフトウェア開発のプロジェクト管理 のヒントをユニークたっぷりに語っている。純粋に読み物としても面白い。ソ フトウェア開発/プロジェクト管理に携わる、すべての人におすすめ★★★★ ★ (2005/07/20)
河野 哲也, "レポート・論文の書き方入門," 慶応義塾大学出版会, 2002/12
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766409698/
レポートや論文の体裁をどのようにすればいいかを平易に説明した本。慶應大 学の学部の講義テキストとして作成されたもののよう。本書の狙いには共感す る部分も多いが、人文系を対象として書かれているためか、工学系の研究者に はあまり役立たないだろう。例えば、参考文献の書き方は、かなりのページ数 を割いて、筆者独自のスタイルを提案しているが、これを学ぶ意義は低い。学 会にはスタイルガイドがあるので、これに忠実に従うことを学ぶべき。また、 脚注の使用を推奨しているが、読者の思考の流れを妨げる要因となるので、で きるだけ使用を避けるべきであろう。人文系の初学者には参考になる部分があ るかもしれないが。おすすめ度★ (2005/05/16)
酒井 聡樹, "これから論文を書く若者のために," 共立出版, 2002/05
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4320005643/
実際に論文を書くことになった/書いている人が知っておくべきことを、簡潔 にまとめた本。こういう知識は、論文を書く上で非常に重要だが、通常は誰も 教えてくれない (指導教員などの力を借りて、実際の経験を通して学ぶもの) ので、非常に本書の価値は高い。細かなテクニックではなく、「なぜ研究をす るのか? なぜ論文を書くのか?」など、研究の心構えを説いている。各章に、 注意すべき事柄のチェックリストが掲載されており、明日からでもすぐに実践 できる。すべての研究者におすすめ。おすすめ度★★★★★ (2005/07/20)
D. E. Knuth ほか, "クヌース先生のドキュメント纂法," 共立出版, 1989/12
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4320024990/
スタンフォード大学でクヌース氏が講義をした「Mathematical Writing」の講 義メモをまとめたもの。英語でのテクニカルライティングに関するさまざまな トピックを扱っている。テクニカルライティングにおけるスタイルの重要性、 いかに分かりやすく書くか、数式やアルゴリズムの記述法などのトピックをテ ンポよく説明している。講義メモのため読みにくい箇所もあるが、「わかりや すく書くためにはどうすればいいか?」というクヌース氏の考えや熱意が伝わっ てくる。英語で文章を書く機会のあるすべての研究者におすすめ。おすすめ度 ★★★★ (2006/03/15)
毎日新聞科学環境部, "理系白書," 講談社, 2003/06
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062117118/
理系の技術者・研究者に関するさまざまなトピックを取材した、毎日新聞のコ ラムを書籍にまとめた本。理系の待遇、博士号の持つ意味、理系の女性研究者、 理系教育の現状や問題点、研究資金の配分状況などを、インタビューや具体的 な数値をもとに紹介している。初出が新聞のコラムだけあて、中立的な立場か ら、具体的なデータを元にしている点に好感が持てる。全体的なトーンは、欧 米と比較して、日本の大学や研究機関のシステムに問題がある、というもの。 大学院生以上の、すべての理系の人におすすめする。おすすめ度★★★★★ (2005/03/26)
大前 研一, "質問する力," 文芸春秋, 2003/02
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163594809/
近年の日本の政治・経済の問題点を、著者の視点から論じた本。地下の下落、 IT 革命の意味、北朝鮮との外交、道路公団改革、郵便貯金民営化など、日常 的なトピックを扱っている。日本のさまざまな問題は、日本人全体に「質問す る力」が不足していることに起因している、というのが著者のメッセージ。著 者の主張には同意できない箇所も多くあるが、著者が伝えたいメッセージには 共感する。理系に限らず、すべて人におすすめする。おすすめ度★★★★ (2005/07/20)
科学的な外国語学習法
だから、英語はできるようにならない
したたか教授のキャンパスノート
アメリカの大学・ニッポンの大学